ガイド / 工程
試作品に必要なのは同時5軸加工か3+2か:見分け方
2026年9月29日
加工能力のページに「5軸」と記載している加工会社の多くは、部品を複合角度に位置決めできます。しかし、5軸すべてを同時に動かして削れる会社はそれより少数です。多くの試作品では、この違いは問題になりません。一部の試作品では、手仕上げなしで部品を作れるかどうかがこの違いで決まります。このガイドでは、2つの加工方式、どの形状にどちらが必要か、そして図面を送る前に加工会社が実際に何を運用しているかを確認する方法を説明します。
3+2とは
3+2加工(割出し5軸、位置決め5軸とも呼ばれます)では、2つの回転軸が部品またはヘッドを固定角度まで回転させてロックします。その後、X、Y、Zの3つの直線軸が3軸機と同じように削ります。その面が終わると、回転軸が次の角度に動き、再びロックして、次の形状群を加工します。
結果として、傾いた平面上での3軸工具経路になります。機械は1回のクランプで5面以上に届き、部品を主軸側に傾けられるため短い工具を使え、部品が治具から外れないため面と面の間の位置を保てます。5軸加工と聞いて思い浮かべる段取りの削減効果の大半は、この方式によるものです。
同時5軸加工とは
同時5軸加工(連続5軸加工)では、切削中に5軸すべてが同時に動きます。工具は移動しながら、面に対する角度を連続的に変えます。制御装置は、工具先端がプログラムされた経路上にとどまるよう、回転運動と直線運動を協調させる必要があります。この機能は一般にツールセンターポイント制御と呼ばれます(メーカーによってTCPC、RTCP、TCPMと呼ばれます)。
面が2方向に湾曲していて、工具を経路全体にわたって面の法線方向に保つ、または一定のリード角で傾けて保つ必要がある場合に必要となるのがこの方式です。また、どの固定角度でも工具が入らない2枚のブレードの間のねじれた流路に工具を届かせることができるのも、この方式です。一般的な背景については多軸加工の概要をご覧ください。
加工会社のページの「5軸」が割出しを意味することが多い理由
割出しに優れたトラニオン型の機械は、角物部品に対して非常に生産性の高い設備であり、多くの加工会社はほぼ常にそのように使っています。同時5軸の仕事を行うには、機械以外にも次のものが必要です。
- ツールセンターポイント制御の制御装置オプション(購入されていないこともあります)
- 多軸工具経路のライセンスを持つCAMソフトウェア(3軸や3+2のライセンスより高価です)
- その機械のキネマティクスに合わせて検証済みのポストプロセッサ
- ヘッド、ホルダ、トラニオンと部品や治具との干渉をプログラマーが確認できる、機械全体のシミュレーション
- この仕事を日常的に行い、手早くこなせるプログラマー
機械はあっても、それ以外が何もない加工会社もあります。その加工会社が「5軸」と言うのは正直な表現ですが、それでもインペラは削れません。問うべきは機械に5軸があるかどうかではなく、切削中にどの軸が動くかです。
形状別:部品に必要な加工方式
| 形状 | 3+2割出し | 同時5軸 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 複数の傾斜面にある穴とポケット | 可 | 不要 | 典型的な3+2部品 |
| 複合角度の穴 | 可 | 不要 | 穴の軸ごとに1回割出し |
| 半端な角度の平面 | 可 | 不要 | 傾けた平面上で正面フライスまたはエンドミル |
| 曲線エッジに沿った角度が変化する面取り | 不向き | 可 | 3+2では段差が残るか手作業が必要 |
| 滑らかな仕上げが求められる自由曲面 | ピックフィードを小さくすれば可能 | より適する | 3+2ではボールエンドミルで多数のパスが必要 |
| インペラやブリスクのブレード、流路 | 不可 | 可 | 工具がねじれに沿う必要がある |
| 角度を変えながらでないと届かないアンダーカット | 不可 | 可 | 経路に沿って工具の入り方が変わる |
| 側面加工(スワーフ加工)による線織面の壁(テーパーやねじれのある側壁) | 不可 | 可 | 工具の側面で壁全体を削る |
| 滑らかにつながるポートと内部の曲がった通路 | 限定的 | 可 | マニホールドやハウジングでよくある |
| 短い工具を傾けながら進む必要がある深いキャビティ | 限定的 | 可 | 長い工具のたわみを避けられる |
部品に当てはまるすべての行で3+2の列が「可」であれば、同時5軸の能力は不要であり、その費用を支払うべきではありません。1つでも同時5軸が必要な形状があれば、部品全体を同時5軸を運用する加工会社に回します。
選択がCAM時間、段取り、仕上げ、コストに与える影響
CAM時間
3+2のプログラムは、回転させた平面上の3軸プログラムの集まりです。能力のあるプログラマーなら、中程度に複雑な試作品のプログラムを通常数時間で作成できます。同時5軸のプログラムには、工具軸の制御方法、経路全体での干渉チェック、出力したコードの入念な確認が必要です。インペラや滑らかにつながるポートでは、1〜3日のプログラミングが一般的です。1個だけの試作品では、このプログラミング時間が見積の最大の項目になることがよくあります。
段取り
どちらの方式でも、ほとんどの面を1回のクランプで加工できます。3軸と比べれば、どちらでも効果は大きく、3軸フライスで4〜6回の段取りが必要な部品も、5軸機なら1〜2回の段取りで加工できることがよくあります。段取りが少ないほど面と面の間の位置がずれる機会も減り、部品全体で位置をそろえる必要がある形状では特に重要です。
表面仕上げ
3+2で加工する自由曲面では、工具は固定角度のままです。加工会社は通常、ボールエンドミルと小さなピックフィードを使い、仕上げ面にはパス間のカスプが残ります。カスプの高さは工具半径とピックフィードで決まります。これを小さくするには多数のパスと長いサイクルタイムが必要です。ある割出し領域から次の領域へ面が移る箇所には、境界線やピックフィードの跡が見えることがあります。
同時5軸加工では工具を傾け、より大きな工具の側面、バレル工具、リード角をつけたボールエンドミルで削れるため、1パスでより広い面を加工できます。その結果、通常はより短い時間でより均一な仕上げになり、手作業で除去することになるつなぎ目の跡も少なくなります。
コスト
同時5軸が不要な部品では、同時5軸のプログラミングは利点なしに費用を増やすだけです。必要な部品では、代わりの方法の方が通常は高くつきます。段取りの追加、専用の総形工具、放電加工、あるいは次の改訂で誰も正確に再現できない何時間もの手仕上げです。形状に加工方式を合わせれば、コストもそれに従います。
同時5軸の機械でも3+2の方が適している場合
同時5軸の仕事を行う加工会社でも、ほとんどの形状は3+2で加工します。割出しの工具経路はプログラミングも検証も容易で、切削中は回転軸がクランプされるため剛性も高くなります。重切削の荒加工、穴あけ、タップ、ボーリングはほぼ常に割出しで行います。複雑な部品の優れたプログラムは、多くの場合この両方を組み合わせています。3+2で荒加工と穴加工を行い、その後、必要な面だけ同時5軸で仕上げます。
したがって、試作品について問うべきは、部品全体として「3+2か同時5軸か」ではありません。どの形状に連続的な動きが必要か、そして加工会社がそれらをうまく削れるかどうかです。
部品例と一般的に必要な加工方式
- インペラとブリスク。 ねじれたブレードと狭い流路。ほぼすべての場合で同時5軸加工です。
- 光学マウント。 複合角度の精密穴とデータム面。通常は3+2で、価値は1回のクランプで面と面の間の位置を保てることにあります。
- 手術器具。 両方の組み合わせです。ジョー形状やエルゴノミクスを考えたハンドルには連続工具経路が必要な場合があります。ヒンジ穴やピン穴は割出しの仕事です。
- ドローンのジンバル。 薄いアーム、傾斜したボス、軽量化のためのポケット。ほとんどは3+2です。有機的なトポロジー最適化形状になると、同時5軸寄りになります。
- マニホールド。 交差穴のポートは3+2です。滑らかにつながる内部通路やポートの滑らかな遷移部は同時5軸です。
- 彫刻的な外観のハウジング。 ポケットと穴は割出しです。外観仕上げが求められる曲面の外皮は同時5軸です。
3軸加工や積層造形と比べて、そもそも5軸加工が適しているのはどのような場合かについては、5軸加工の試作と3軸加工・3Dプリントの比較をご覧ください。
加工会社が本当に同時5軸加工を行っているか確認する方法
率直に質問してください。この仕事を行っている加工会社なら、すぐに具体的に答えます。
- 機械の型式と構成。 トラニオンテーブル、旋回ヘッド、ヘッドヘッドのどれか。構成によって加工範囲と到達できる角度が決まります。
- 制御装置とオプション。 どの制御装置か、その機械でツールセンターポイント制御が有効か。
- CAMソフトウェア。 どのソフトか、ライセンスに3+2の位置決めだけでなく多軸工具経路が含まれているか。
- ポストプロセッサ。 その機械向けに検証されているか、誰が保守しているか。
- 干渉シミュレーション。 プログラマーがホルダ、ヘッド、治具を含めた機械全体のシミュレーションを行っているか、工具経路の検証だけか。
- サンプル部品。 連続工具経路で加工した部品の写真。インペラ、滑らかにつながる面、スワーフ加工の壁など。割出しのみの加工会社は角物部品を見せるはずです。
- 最近の実績頻度。 同時5軸の仕事をどのくらいの頻度でプログラミングしているか。年に1件の加工会社は、週に数件こなす会社より時間も費用もかかります。
モデルを送り、どの形状をどちらの方式で加工する予定かを加工会社に尋ねる方法もあります。明確な回答があれば、部品をきちんと見たことがわかります。曖昧な「問題ありません」からはほとんど何もわかりません。
試作の見積依頼でよくある失敗
- 理由を書かずに「5軸」を依頼する。 ブレードに連続工具経路が必要な部品に対して、加工会社が割出しの仕事として見積もり、プログラミングの段階で初めて気付くことがあります。
- すべての面に厳しい輪郭度公差を指示する。 自由曲面の外皮全体に 0.02 mm の輪郭度公差を指示すると、ピックフィード、サイクルタイム、CMM測定時間がすべて増えます。機能を担う面にだけ指示し、それ以外は緩い輪郭度にしてください。
- 仕上げを指示しない。 Raの値がないと、ある加工会社は細かい仕上げパスで見積もり、別の会社は粗いカスプのまま見積もります。見積を比較できなくなります。
- 改訂ごとに加工会社を変える。 同時5軸のプログラムは作成費用が高額です。作成した加工会社ならRev B用に修正する費用は、新しい加工会社が一から書き直すよりはるかに安く済みます。
見積依頼を送る前のチェックリスト
- 連続工具経路が必要な形状に印を付けるか、加工会社に特定してもらうよう依頼してください。
- 自由曲面に必要な仕上げをRaの値で示し、外観が重要な箇所を記載してください。
- 手仕上げを許容するかどうかを記載してください。許容しない場合は、図面にその旨を書いてください。
- 整ったSTEPファイルと、重要な公差とデータムを記載したPDF図面を送ってください。材料別の一般的な公差は材料の表にまとめています。
- 改訂あたりの数量とRev Bの見込みを伝え、加工会社がプログラムの再利用を計画できるようにしてください。
- 重要な形状ごとにどちらの方式を使う予定かを、見積に記載してもらうよう依頼してください。
図面を送る
部品にどちらの方式が必要かわからなくても、それはごく普通の出発点です。見積依頼1回で図面を送信していただければ、形状が求める場合は同時5軸加工も含めて、5軸加工を行う加工会社を最大3社までマッチングします。見積は加工会社から直接届き、発注者は無料で、ご希望に応じてNDAにも対応します。24営業時間以内にご返信します。
よくあるご質問
3+2割出し加工と同時5軸加工の違いは何ですか?
3+2では2つの回転軸が部品を固定角度に傾けてロックし、その後X、Y、Zで3軸フライスと同じように削ります。同時5軸加工では切削中に5軸すべてが同時に動くため、工具の角度が経路に沿って連続的に変化します。
私の試作品には同時5軸加工が必要ですか?
ねじれたブレード、流路、側面加工(スワーフ加工)による線織面の壁、滑らかにつながるポート、角度を変えながらでないと届かないアンダーカットなどの形状がある場合に限ります。複数の傾斜面に穴やポケットがある部品は3+2の仕事です。
同時5軸加工は3+2より高くなりますか?
通常はプログラミングに時間がかかるため、初品の費用は高くなるのが一般的です。ただし本当に必要な部品では、代わりの方法は段取りの追加、総形工具、手作業での仕上げとなり、多くの場合はそちらの方が高く、次の改訂で同じ結果を再現しにくくなります。
加工会社が本当に同時5軸加工を行っているか、どう確認すればよいですか?
機械の型式、制御装置とツールセンターポイント制御が有効かどうか、CAMソフト、ポストプロセッサの検証方法、機械全体のシミュレーションを行っているか、そして連続工具経路で加工した部品の写真を尋ねてください。